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新大学評判記 第59話

佐賀大学 「コスメ学部」新設が失笑の的に

2024年11月号

 佐賀大学が2026年4月に「コスメティックサイエンス学環(仮称)」を開設する計画を文部科学省に申請する準備を進めている。国立大学が一般消費者向けの商品、しかも奢侈品である化粧品の開発・研究に直接関わる学部・学環を新設するのは異例を超えて、異常としか言えない。佐賀県は13年にフランスのコスメティックバレーを模した集積構想を打ち出し、小規模のコスメ企業の進出事例もあったが、鳴かず飛ばず状態。佐賀大は関連コスメ団体の拠点を引き受けてはいるが、客観的にみればコスメとは不釣り合い。隣の熊本県が台湾のTSMC工場誘致で半導体ブームに沸いていることへの焦りがあるのは間違いない。
「チャラか学部がでくらっしいね」。佐賀県内の高校では今夏、コスメ学環開設がちょっとした話題になった。「メイク技術やったら美容学校の方が上じゃなかかな?」「ネイルも教えるとかな?」というのが女子高生の認識と関心。もちろん佐賀大でメイク技術を教えるわけでも、ネイルサロンを開くわけでもない。
「化粧品や化粧品に使われる医薬品に含まれる化学物質が、私たちの体とどのように関わるかを研究する」というのが佐賀大の説明・・・

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