皇室の風 第194話
平成流とは何だったのか
岩井克己
2024年11月号
「国事行為のみを行う」と憲法が定めた象徴天皇のありようが、どんどん塗り替えられていく。そんな危惧から平成の天皇・皇后が戦後昭和の時代の「象徴」モデルをどう変えつつあるのか、自分なりに検証してみたのは平成10年、政治学者の研究会で取材現場の話をしたあと、研究報に執筆を求められたときだった。
思い切って、それを「平成流」と呼んだのも、このとき「国政に関する権能を有しない」とのタガが外されてゆくとの警戒感も込めた。「天皇・皇后が自ら主体性を強めて踏み込み、政治性への関与を深めるのはやりすぎではないか」との疑問が拭えなかった。
国の省庁の所管分野の課題や政策などについて、各事務次官から順次説明を受ける。これは皇太子時代からの慣例が即位後も持ち上がったものだったが、見ようによっては戦前の「統治権の総攬者」の姿を彷彿とさせた。また即位後しばらくは、昭和天皇時代の都知事の都政報告、警察庁長官・警視総監の治安や警備関係の報告、日銀総裁の経済情勢進講、経団連や経済同友会など経済団体の長と御所での懇談などが行われた。
そうした政策関連の延長線として、大規模災害の際には・・・
思い切って、それを「平成流」と呼んだのも、このとき「国政に関する権能を有しない」とのタガが外されてゆくとの警戒感も込めた。「天皇・皇后が自ら主体性を強めて踏み込み、政治性への関与を深めるのはやりすぎではないか」との疑問が拭えなかった。
国の省庁の所管分野の課題や政策などについて、各事務次官から順次説明を受ける。これは皇太子時代からの慣例が即位後も持ち上がったものだったが、見ようによっては戦前の「統治権の総攬者」の姿を彷彿とさせた。また即位後しばらくは、昭和天皇時代の都知事の都政報告、警察庁長官・警視総監の治安や警備関係の報告、日銀総裁の経済情勢進講、経団連や経済同友会など経済団体の長と御所での懇談などが行われた。
そうした政策関連の延長線として、大規模災害の際には・・・