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経済

川崎重工業「不正体質」は治らぬ

隠蔽二十年「全社的犯罪」の痼疾

2024年11月号

 グループを含む社内の節々が不正体質に染まった企業、それが今の川崎重工業だ。
 二〇二二年に子会社の川重冷熱工業が製造する吸収式冷凍機で検査データの改ざんや公的機関に対する虚偽申請が発覚。不正撲滅を誓ったはずが、今年に入って本社である川崎重工で海上自衛隊への裏金問題が見つかった。潜水艦の修理において取引先企業との架空取引で裏金を捻出し、海上自衛隊への物品代や飲食代に充てていた。この事態を受けて橋本康彦社長は謝罪した上で「膿を出し切る」と宣言。ところが、その舌の根も乾かぬうちに、今度は船舶用(舶用)エンジンにおいて検査不正が明るみに出た。社内はその対応で大わらわだ。
 この舶用エンジン不正は極めて悪質なものである。川崎重工は製造したほぼ全てのエンジンで不正に手を染めていた。その台数は六七〇台を超える。燃料消費量や燃料消費率(燃費)などを自社に都合良く操作していた。契約した顧客の要求を満たせずに、計測機器や計測用PCを不正に操作してデータをごまかしていたのである。
 不正の理由について川崎重工は「顧客の要求仕様の数値から大きく逸脱しないようにするため」と語る。・・・

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