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経済

《地方金融の研究》フィデアHD(東北)

「万年赤字」の“限界地銀”集落

2024年11月号

「本音を言えば倍の六十億円は欲しいところ」。フィデアホールディングス(HD)関係者の一人がこう呟いて厚顔さをのぞかせる。
 金融庁は今年九月、二〇二一年施行の改正金融機能強化法に盛り込まれた新制度に基づき、フィデアHDに最大三十億円の補助金を交付することを決めた。合併や経営統合など再編に踏み切る人口減少地域の地銀などを対象に、システム統合・改修費用などの一部を補助する制度で、三十億円は同庁が目安としている支援金の上限額にほぼ匹敵する。フィデアが同一月下旬、傘下にぶら下がる荘内銀行(山形県鶴岡市)と北都銀行(秋田市)の合併計画を打ち出したことを受けての「特別措置」(当局筋)だ。
 補助金の拠出財源は公的資金注入行からの優先株配当など預金保険機構に積み上がった利益剰余金。フィデアは近く同機構と資金交付契約を締結。子会社の福邦銀行吸収合併で同時期に二十七・六億円の補助が決まった福井銀行とともにカネを受け取る。預金保険機構が発行株を引き受ける形で注入される公的資金と異なり、無論、返済義務はない。
 にもかかわらず冒頭のフィデア関係者が金額に不満をにじませるのは、シ・・・

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