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政治

《罪深きは この官僚》中井清人(厚労省医薬品審査管理課長)

「危ないワクチン」 承認の首謀者

2024年11月号

 明治ホールディングスの子会社Meiji Seikaファルマが開発したコロナワクチン「コスタイベ」の評判が悪い。ファイザーやモデルナ製のワクチンがあるのに、日本国内で実施した小規模な臨床試験の結果だけで、世界にさきがけて承認したのだから、問題視されるのは当然だ。承認を主導したのは、厚生労働省医薬品審査管理課長の中井清人。中井の強引な措置の背景には「栄達」が絡んでいるとされる。
 中井は一九九〇年に厚生省(当時)に入省した薬系技官。モットーは、日本の治験のレベルアップだ。「日本を魅力ある治験市場にする政策に変えていく必要がある」と繰り返し発言している。そのためには、「無理に薬事で規制するより、効率的な治験、国際共同治験を進めることが重要」という。
 主張は正鵠を射ているが、やっていることとは大違いだ。今回の承認に関しては、「日本の治験市場を世界に売り出すため、どんどん承認せよと強引に進めた」(厚労省関係者)のが真相だ。
 中井は目的のために手段を選ばない。治験のルールもねじ曲げる。その一つが、治験ではなく実際の診療などに基づく医療データ「リアルワールドデータ・・・

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