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政治

覚悟なき野田佳彦が逃した「大金星」

《政界スキャン》

2024年11月号

「笑っている場合じゃない」
 衆院選の開票が進んでいた10月27日夜、東京・永田町の立憲民主党本部。野田佳彦代表は当選確実が出た候補者名のプレートを掲示板に張り付ける間も、党職員らの歓声を横目に努めて淡々としていた。カメラマンが「もっと笑ってください」と声をかけると、目の下に隈のできた顔を険しくして低くつぶやき、会場を出た。
 終わってみれば、どの政党幹部も笑顔のない衆院選だった。惨敗した与党は言うに及ばず、躍進した野党まで表情が固いのは、勝っても展望が見えないからだ。
「政権交代こそ最大の政治改革。変えるなら今。政権交代で変える」。そう訴え、議席を公示前の1.5倍、50議席も増やし、自民・公明両党を過半数割れに追い込んだのに、政権交代は難しい。野党を結集できないからだ。そもそも自前の候補者が足りなかった。初めからできもしない政権交代を、この選挙でできるかもしれないように宣伝したのは、ヤルヤル詐欺と何が違うか。
 野党第一党の座を巡る日本維新の会との不毛な競争を振り切り、立憲は自民と対抗し得る大勢力を得た。これで野田元首相の下で野党に転落して以来・・・

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