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韓国「ノーベル文学賞」狂喜の実像

作家・韓江に渦巻く毀誉褒貶

2024年11月号

 経済の低迷や南北関係悪化など、久しく明るい話題がなかった韓国が沸き立っている。小説家、韓江氏のノーベル文学賞受賞だ。受賞が決まった翌10月11日、韓国朝刊各紙は一面トップで「韓江 韓国人初のノーベル文学賞=アジア女性でも初」(中央日報)、「韓江 心臓から火花散るのが私の小説」(毎日経済)、「『(奇跡の高度成長を意味する漢江の奇跡にかけた)韓江の奇跡』 韓国人初のノーベル文学賞」(韓国経済)と伝えた。
 韓国メディアによれば、公共図書館での韓江氏著作の貸し出し件数は受賞決定前の約14倍に急伸。受賞決定後の著作累積販売数は、電子書籍も含めて6日間で100万部を突破した。韓国は書籍マーケットの規模が小さく、「初版数百部」というケースも珍しくない。母校の延世大学では早速、韓江氏の文学記念館を建設する話が浮上した。まさに奇跡と言えるほどの熱狂ぶりだ。1年前に韓江氏の著作を読んだというソウル在住の70代男性は「我々の文化はK-POPだけではなく、小説という本格的な文学でも世界で一流だということを証明してくれた」と喜ぶ。
 韓国は日本による植民地時代を経験した。1948年の建国・・・

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