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西欧左翼とイスラム過激派の「野合」

政治と治安の新たな不安要因

2024年11月号

 ヨーロッパで、極左または中道左派が、イスラム教徒に接近する現象が進んでいる。フランスの「国民連合」(RN)を筆頭に、国内のイスラム教徒を批判・攻撃する極右勢力が拡大していることへの、対抗策からだ。
 イスラム教徒たちは、「身を守るには左派に投票するしかない」(フランスのイスラム政治団体)との思いから、極左または中道左派の支持に大挙して回っている。
 こうした「左翼=イスラム」の密着を好機ととらえ、急進的な左翼運動に紛れ込むイスラム過激派も増えている。突如盛んになった左翼とイスラム教徒たちの共闘については、「極左とイスラム過激派の野合」の危険性が指摘される。西欧各国政府にとっては、新たな治安上の脅威が浮上している。
 左派とイスラム教徒が急接近するのは、フランスだ。
 今年6月に行われた欧州議会選挙では、極右「国民連合」がフランスで31%を得票して第一党となり、欧州政界全体に激震が走った。エマニュエル・マクロン大統領は衝撃を受け、ただちに国民議会(下院)解散を決意した。
 だが、極右の勢いは止まらない。6月30日の下院第1回投票では、「・・・

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