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社会・文化

令和のコメ不足 「三つの大罪」

農水官僚「人災」とメディアの虚報

2024年10月号

 「令和のコメ不足」は明らかに農林水産省の失政だ。新米(二〇二四年産)が出回り始めた九月に入っても店頭の品薄状態が続き、価格は高騰して消費者の不安は収まらない。消費者を無視した農業政策が続けば、コメだけでなく、卵、野菜、牛乳などさまざまな食品の不足が繰り返される。その度に犠牲になるのは、いつも生活弱者だ。
 九月中旬の横浜市のある業務用食品店では、千葉県産の新米が入荷し、ふさおとめが二千七百五十円(五キロ=以下同じ)、コシヒカリとあきたこまちが二千八百円で売られていた。三千円を超える大手スーパーなどと比べると安いが、それでも前年と比べると二割ほど高い。「開店前に行列ができ、一日に六回入荷しているがすぐに売り切れる」(同店員)。さらに驚くことに、台湾産が一千九百五十円、オーストラリア産(シェルパ)が一千八百九十円と「激安」で並べられ、いずれも売り切れだ。
 品薄でも、五キロ袋を抱えて帰れる人は幸いだ。高齢者や体が不自由な人、収入が十分でない人、忙しくて行列に並ぶ時間がない人たちはどうするのかと思うと心が痛む。今年五月に改正された食料・農業・農村基本法は、食料安全保障に・・・

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