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経済

石破政権で 経済「乱気流」

市場大揺れが示す政策への不信

2024年10月号

 自民党総裁に就任した石破茂氏ほど経済政策に関する発信が少ない大物政治家は珍しい。わずかな手がかりは「地方再生」と「財政再建」の二つのキーワード。地方再生は自民党政治の柱でもあるが、それを補助金主導のばら撒きではなく、達成しようという考えがみえる。半導体、AIなど先端産業優遇や「貯蓄から投資へ」など市場が欲する発言はわずかだ。石破総裁決定とともに日経平均先物が大きく下げたのは市場の石破不信を映し出している。多くのエコノミストが打ち出せるかを懐疑的に見ている「イシバノミクス」を、早期に世界に示せなければ、日本株売りを加速させてしまうだろう。

財務省仕込みの財政再建論者

 自民党総裁選を受けた市場の動きは石破氏そのものより、決選投票で相まみえた高市早苗氏の勝敗により敏感に反応した。第一回投票で「高市優勢」が出ると、円安に大きく振れ、株価は上がった。高市氏が日銀の利上げを牽制していたからだ。故安倍晋三元首相が推し進めた政治主導のアベノミクスを継承したと自負する高市氏らしい市場への口先介入だった。
 石破氏・・・

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