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経済

清水建設の哀れな「業績急降下」

初の「営業赤字」はなぜ起きた

2024年10月号

 スーパーゼネコンの一角、清水建設が度重なる「不運」に悲鳴を上げている。その象徴とされているのが「日本館」だ。
 二〇二五年四月に開幕する「大阪・関西万博」に日本政府が出展するパビリオンで「いのちと、いのちの、あいだに」がコンセプト。木質性の板を円を描くように並べた外観が「売り」になるという。
 ところが刻々と開幕が迫るというのに建設受注先が一向に決まらない。二三年一月には発注元の国土交通省近畿地方整備局が入札公告の開示に踏み切ったものの、予定価格内で応札した業者はゼロ。敢えなく不調に終わった。このため途方に暮れた同省が同七月、随意契約で「無理やり清水建設に押し付けた」(事情通)とされる曰くつきの代物だ。
「資力、信用力、技術力、経験ともに栄えある『日本館』の施工を担うに足る存在」というのが、競争入札ではなく随意契約を選択した国交省側の言い分だが、無論、詭弁だ。
 清水の宮本洋一会長は二一年度から大手ゼネコン各社などで構成する業界団体、日本建設業連合会(日建連)の会長を務めている。ただ人手不足の深刻化や資機材の高騰、さらには建設作業員ら・・・

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