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経済

伊藤忠は何に焦っているのか

「年収報道」騒動の裏事情

2024年10月号

 あざとい! 5大商社の間には怨嗟の声が尽きない。
〈伊藤忠が平均年収1割増へ 25年度、課長で3620万円も〉 9月5日、日本経済新聞電子版がこう報じると、Ⅹ(旧ツイッター)の伊藤忠商事の話題は一段と活況を呈した。いわゆる「バズった」のである。
 日経記事は、伊藤忠が今期2024年度の8800億円の連結純利益計画を達成した場合、25年度の社員の平均年収を10%引き上げるという内容。大幅昇給は成果給に重点配分し、優秀な課長には最大3620万円を支給する。今期見込みの3090万円に比べ17%もの上昇だ。
 この昇給案は、岡藤正広会長CEOが社員へ発したメッセージで示したもので、その内部文書がXに流出したとされる。日経記事には、同社広報担当者の「内容は事実」「(労組との)交渉終了時期は不透明」という談話も載っている。実際、Ⅹに拡散しており、注目されたのは課長より、むしろ役職がない担当者の年収だった。今期見込みの2160万円が2500万円へ跳ね上がるという。
 Ⅹには「平社員として雇ってほしい」「俺も商社に行けばよかった」といった反響が相次いだ。{br・・・

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