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経済

《クローズ・アップ》井阪 隆一(セブン&アイHD社長)

買収攻勢で「四面楚歌」の窮地

2024年10月号

 「あいつは本当にだめなやつだから」。コンビニエンスストア、セブン-イレブンの生みの親とされる鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問は最近、親しい知人にこう漏らしたとされる。「あいつ」とは誰か。それはセブン&アイHDの井阪隆一社長だ。
 井阪社長率いるセブン&アイHDは、カナダの小売り大手のアリマンタシォン・クシュタール(ACT)から買収提案を受け、世間を騒がせている真っ最中。鈴木氏の発言はACTからの買収提案が明らかになった後のものだという。
 鈴木氏が手塩にかけてきたセブン-イレブンは、間違いなく日本一のコンビニになった。ACTに買収されてはたまらないというのが鈴木氏の本音だろう。だが井阪社長ではACTを撃退できるかわからない、と危惧しているようだ。
 鈴木氏がセブン&アイHDの会長を二〇一六年に退いたのは、井阪社長にクビを申し渡したところ、逆にクーデターを起こされたから。鈴木氏の言葉には過去の因縁もあろうが、井阪社長の評価は驚くほどどこからも聞こえてこない。
 井阪社長が昨年決断した百貨店のそごう・西武売却で、ストライキを実施する・・・

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