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政治

辛勝・石破の暗い船出

自民党劣化を裏付けた総裁選

2024年10月号

 目先の小改革を大転換の如く喧伝する凡庸な脚本を、三文役者九人が舞台ではしゃぐ派手な演出で興行としては上々だった自由民主党総裁選は、結局、「政治とカネ」の醜聞を糊塗する目眩ましだったようだ。第一回投票は「敵失」による消極的選択、決選投票は好き嫌いが決め手となり、日本の進路も不明なら、党改革もお題目ばかり。新総裁の元党幹事長・石破茂が政治不信を解消できると信じられる材料は見当たらない。
 現行の総裁選の仕組みでは最長となった十五日間を戦い、経済安全保障担当大臣の高市早苗との決選投票を制した石破は、当選のあいさつで「公正、公平で謙虚な自民党の姿を取り戻すよう、全身全霊を傾ける」と誓った。
 第一回投票では高市が党員票で一位、議員票でも石破を上回ったものの、決選投票で逆転されたのは、高市の「右寄り過ぎる」(中堅議員)政策に対する警戒感の表れだったことは間違いない。女性初の総理大臣への期待以上に、外交関係への影響も考慮して高市を忌避した投票行動は、自民党のバランス感覚だと評価もできよう。
 ただ、高市の最大の敗因は、石破以上に国会議員の反感が尾を引いていたことだっ・・・

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