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政治

夢想家・石破が欠く 「政策実現力」

安保と防災「ど正論」の無理筋

2024年10月号

 「石破ショック」が市場を見舞った。自民党総裁選で石破茂氏が勝利した九月二十七日午後三時過ぎ、東京外国為替市場の円相場は数分で一ドル百四十六円台から百四十二円台まで急騰。日経平均株価の先物は売りが急拡大し、一時二千円超も急落した。
 対抗馬の高市早苗氏が総裁選で「積極財政・金融緩和継続」を強調。終盤の勢力拡大を見た市場は、高市政権誕生への期待を先取りし円安・株高に進んでいた。薄氷の逆転劇で石破氏が勝ち、市場が過剰反応した面はある。とはいえ石破氏が「緊縮財政・日銀の追加利上げ賛成」の渋チン原則派として、市場に警戒されていることを如実に示す事件だった。
 国民挙げて新NISA(少額投資非課税制度)で株や投信を買えと推奨されている今、金融所得課税強化を打ち上げたのも嫌われている。岸田文雄前首相も三年前の就任時、不用意に言い出し、株価が急落する「岸田ショック」の洗礼を受け慌てて引っ込めた。それを知っていても石破氏は前向き。株価も下がる。当選前から「経済オンチ」と酷評されてきた。経済界首脳たちからは「三十年以上続いたデフレからの転換を中折れさせることなく進めてほしい」と注文が・・・

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