製造業「基幹システム」導入が招く災厄
相次ぐ「大トラブル」の理由
2024年10月号
ドイツのSAP社の統合基幹業務システム(ERP)導入にかかわるトラブルで、江崎グリコのプリン、飲料など主力商品の供給が3カ月以上も止まる事件が起きた。在庫・物流の改善と企業全体の情報把握の迅速化が狙いだったが、完全に裏目に出た。この数年、同社のERP導入ではクボタやユニ・チャームでも障害が発生しており、SAPや導入の実行部隊である大手コンサルタント会社への不信が日本の製造業に広がっている。SAPは米欧では大企業顧客が多く、評価も高いのに、なぜ日本でだけ障害が発生するのか。「顧客の無理に現場が応える」日本のモノづくりと「計画順守がルール」の米欧の生産現場の思想、風土の違いが背景にある。
欧米との「思想」の違い
1972年に登場したグリコの「プッチンプリン」ほど定番化した子供向けの乳製品はないだろう。名前を聞けば、誰でも裏返して樹脂の爪を折る動作を思い出す。その供給が半世紀にして初めて止まったことは「日本の食品史に残る大事件」と業界関係者は語る。
その原因がグリコが342億円を投じたSAPのERP・・・
欧米との「思想」の違い
1972年に登場したグリコの「プッチンプリン」ほど定番化した子供向けの乳製品はないだろう。名前を聞けば、誰でも裏返して樹脂の爪を折る動作を思い出す。その供給が半世紀にして初めて止まったことは「日本の食品史に残る大事件」と業界関係者は語る。
その原因がグリコが342億円を投じたSAPのERP・・・