三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

ドル高時代がようやく終焉

景気失速と株安は回避できるか

2024年10月号

「政策スタンスの再調整は経済と労働市場の強さを維持するのに役立ち、より中立的なスタンスへの移行プロセスを始める中でインフレ対策のさらなる進展を可能にするだろう」
 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は九月十九日、米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合後の会見でこう述べた。FRBはフェデラルファンド(FF)金利を〇・五%引き下げることを決定。パンデミック後のインフレと高金利に伴うドル高が転換点を迎えた。大局を掴んでおきたい。
「ビハインド・ザ・カーブ(後手に回っている)」と指摘される中で、FRBは利下げした。これがポイントだろう。二年債利回りがFF金利を大幅に下回る状態(市場に利下げを催促されている状態)で利下げをしたのだ。これは、必ずしもいい傾向ではない。過去のパターンを考えるとハードランディングで起こった現象である。FF金利先物市場が見込む将来の金利が現在の政策金利よりも大幅に低いことも同様の意味を持つ。

一気にハト派に振れた印象

 今回の大利下げは、「市場に追い付き、市場から・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます