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政治

《罪深きは この官僚》宮嵜雅則(日本医師会事務局長)

「開業医利権」を拡大する 天下り男

2024年10月号

 厚生労働省はこの夏、医師の偏在是正に向けた総合対策の素案を発表した。開業医が多い都市部での新規開業を規制するほか、中核病院における病院長の資格要件として、医師不足地域での勤務を義務づける。厚労省はこの目的について、医師不足地域への医師の移動を促す仕組み作りだと説明する。
 地方の医療崩壊は、我が国が抱える深刻な問題だ。そのため時宜を得た対応に見えるかもしれない。ところが、実態は異なる。実は、今回の対応で喜ぶのは、権限とポストが増える厚労省の医系技官と、参入障壁により利権のおこぼれに与る日本医師会だけだ。  今回の施策を推し進めたのは、日本医師会の事務局長を務める宮嵜雅則だ。宮嵜は、一九八七年に慶應義塾大学医学部を卒業し、そのまま旧厚生省に入省した元医系技官だ。医政局医事課医師臨床研修推進室長、大臣官房厚生科学課長、保険局医療課長などを歴任し、二〇一九年七月に健康局長に就任した。その後、国立保健医療科学院長などを経て二一年十月に退官し、今年四月に日医に天下りした。 「健康局長時代にコロナ関連の答弁ができなかった」(厚労官僚)など、省内で宮嵜は「凡庸」と評価される。それでも、主・・・

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