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連載

新大学評判記 第58話

女子栄養大学 密かな人気校が「共学化」の理由

2024年10月号

 世界最長寿の日本人の健康を支えているのは、運動を含め様々な生活習慣と塩分や脂質控えめのバランスの取れた食事であることに異論はないだろう。だが、和食が健康食になったのは20世紀以降、栄養学が家庭に広まってからだ。家庭の主婦に栄養の基礎知識を広め、和食を変えたのが香川昇三・綾夫妻。女子栄養学園、現在の女子栄養大学の創設者である。当たり前のように「女子」を冠していた同大学は2026年に共学校に転換する。栄養学がようやく男女の区別なく学ぶ学問領域になったことを意味しているが、大学のありようは別問題だ。
「お醤油小さじ1杯、みりん大さじ2杯、お出汁を2カップ」。料理番組で当たり前のように語られるこのフレーズは香川夫妻が生みの親だ。日本では戦前まで計量に升やおちょこを使うのが一般的だった。現在、家庭の台所に欠かせない「大中小(15、10、5ミリリットル)」の計量スプーンや200ミリリットルの計量カップは香川綾が戦後間もない1948年に考案し、瞬く間に広まったものだ。

熱烈な支持層

 健康的な料理には調味料など・・・