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連載

皇室の風 第193話

悠仁親王に救われて
岩井克己

2024年10月号

 悠仁親王が成年となった。
 皇室典範は民法の成年(改正前は20歳)の例外として天皇、皇太子、皇太孫については特に18歳を成年とすると第22条で定めている。皇位継承や摂政資格など役割の重大性への配慮からだが、悠仁親王は皇嗣秋篠宮の長男で継承順序二位ではあっても該当せず、改正民法の適用による成年となった。
 悠仁親王の誕生と成長は、かけがえのない幼い命の誕生と成長という重みに加え、次世代ただ一人の皇位継承権者という、皇室の根幹にかかわる国家的・国民的関心事であったし、成年後はますます、そうなってゆくだろう。
 皇室の現場取材の生々しい記憶は「恩讐の彼方」へと遠ざかりつつあるが、身近で見聞したウオッチャーの身には、時に記者生命にもかかわり、今も切れば血の出るような記憶も少なくない。いわんや平成の天皇(現上皇)にとって、悠仁親王の存在の重みはいかばかりかと思う。
 一般にはさほど意識されていないが、平成の皇室、とりわけ上皇は、その最も深刻な危機を同親王に二度救われたと思う。
 その第一は、小泉純一郎内閣が皇室典範改正を試み国論分裂を招いた時だ・・・