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経済

外資に染まるニッポン観光産業

施設買収で「ファンド」の猛威

2024年10月号

 2006年に公開された松雪泰子主演の映画「フラガール」。炭鉱閉鎖で沈む町の復興のため、温泉を利用したレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」を開業させた実話をコメディータッチで描いたこの映画を見た方も多いだろう。
 常磐ハワイアンセンターはその後、名前をスパリゾートハワイアンズ(福島県いわき市)と変え、東日本大震災からの復興のシンボルとしてもメディアに数多く取り上げられた。知名度は全国区だ。
 そのスパリゾートハワイアンズを運営する上場企業、常磐興産が、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに買収されることが決まった。9月10日からTOB(株式公開買い付け)が開始されており、買収総額は140億円あまりという。
 東日本大震災からは劇的な復興を遂げたものの、その後のコロナ禍で経営状況は一気に悪化。コロナ禍から抜け出した今、日本全国の観光地がインバウンドで潤っているにもかかわらず、利便性の悪さというハンディからかスパリゾートハワイアンズは外国人観光客の集客が弱く「資金繰りに窮した末に銀行に泣きつき、銀行のつてでフォートレスに話が行った」(交渉・・・

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