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経済

富士ソフト「買収合戦」の真相

米ファンド二強が「公開大喧嘩」

2024年10月号

 東証プライム上場の富士ソフトを巡り、米大手投資ファンドが壮絶ないがみ合いを始めた。8月にKKRが1株8800円で富士ソフトを買収すると発表。TOB(株式公開買い付け)をいざ始めようとしたところ、9月にベインキャピタルが5%高い価格で買収する用意があると公表した。その後はKKRとベインが非難の応酬を始める前代未聞の事態となっている。
 これまでの経緯を簡単に振り返ろう。2021年12月、アクティビストの3Dインベストメント・パートナーズが富士ソフト株を9.28%保有したことが判明した。その後、今年8月時点で22%まで買い増し事実上の筆頭株主になっている。アクティビストの米ファラロン・キャピタル・マネジメントも同8月時点で約9%の株を保有する。
 そして3Dは富士ソフトに社外取締役選任の株主提案を出し、非公開化を求めた。ここまでは企業とアクティビストの攻防でよくある話だ。だが3Dはここから異例の行動に出る。23年夏に、自ら富士ソフトの非公開化に向けた買収提案を募集し始めたのだ。
 通常、非公開化するかどうかのプロセスは会社が考え実行すること。だが3Dはあろう・・・

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