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経済

《地方金融の研究》東和銀行(群馬県)

公的資金は完済したけれど

2024年10月号

 今年9月27日の東和銀行本店内。「臨時株主総会終了」を伝えるニュースに複雑な思いで耳を傾けた行員も少なくなかったらしい。
 遡ることおよそ4カ月半前。同行は国から注入を受けていた350億円の公的資金の完済にこぎつけた。2018年までにひとまず200億円を返済。今年5月11日を期して残債150億円を一括償還したもので、整理回収機構が保有していた優先株を一株当たり2171.8円、総額162.88億円で自己株取得。即日、全株消却に踏み切った。国には最終返済分だけで13億円弱の利益が転がり込んだ計算になる。
 これとは対照的に時をほぼ同じくして公的資金の返済不能へと追い込まれたのが、じもとホールディングス(HD)傘下で山形県を地盤とするきらやか銀行だ。この9月末が期限だった公的資金200億円の返済に行き詰まり、国に「リスケ」を要請。それを認める代わりに金融庁から、じもとHDを含む首脳陣の事実上の総退陣を迫られた。冒頭の「臨時株主総会」は、引責辞任するトップらの後任となる新取締役の選任を諮るための通過儀礼。その後の取締役会なども経て、川越浩司きらやか銀頭取兼じもとHD会長の・・・

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