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中国「日本憎悪犯罪」は根深い

外資撤退と経済悪化の「二重苦」へ

2024年10月号

 中国広東省深圳市の日本人男児殺害事件を起こしたのは44歳の無職男。江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスを襲撃したのも52歳の無職男。中国で日本憎悪と貧困が混ざり合った犯罪が相次いだ。米国人もまた標的になっている。外国人への敵視政策は、習近平政権が撒いた種だ。駐在する日本人や家族は中国社会の変容におののいている。外資の撤退ラッシュは避け難いが、在留邦人を守るべき日本政府の対応はまだまだ甘い。
 深圳市の事件が起きた9月18日は、1931年、日本の関東軍が南満州鉄道の線路を爆破した柳条湖事件が起きた日。中国各地で記念活動が行われていた。反日感情を抱く中国人による日本人への報復の可能性が指摘されている。
 事件を受け、急遽家族を日本に帰国させる日本人駐在員や、中国撤退を検討する日本企業が増えた。
「日本企業が本格的に撤退し始めたら、中国の経済はさらに悪化する」。中国で通算10年以上駐在した日本人商社幹部は指摘する。
 この幹部によると、2022年秋に開かれた第20回共産党大会以降、外国企業にとって中国のビジネス環境が急速に悪化した。日本貿易振興機構(・・・

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