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ベラルーシ「邦人拘束事件」の深層

黒幕ロシア「反日外交」が露骨に

2024年10月号

 ロシアの同盟国・ベラルーシで邦人男性がスパイ容疑で拘束された事件は、その意外性、衝撃性で話題になった。ロシアの指示でベラルーシの情報機関が画策したでっち上げとみられ、ベラルーシは今後、ロシアと組んで反日外交を展開しそうだ。日露関係が冷戦後最悪の状況に陥る中、プーチン政権は来年の戦勝80周年を利用し、対日報復外交を強化している。
 旧ソ連国家保安委員会(KGB)の流れを汲むベラルーシKGBに拘束された邦人は、南東部ゴメリ州の国立大学で日本語教師をしていた50代の中西雅敏氏。日本の民間団体に勤めた後、2018年から同州に居住。文化交流に力を注ぎ、大学の学生や職員の評価も高かったが、今年7月、スパイ容疑で突然拘束された。
 ベラルーシの国営テレビは9月5日、「東京から来たサムライの失敗」と題する特別番組を放映し、中西氏がウクライナ国境付近で道路や橋、鉄道駅など9千枚以上の写真を撮影し、軍事インフラや軍隊の動向情報とともに日本の情報機関に提供していたと報じた。中西氏は番組でスパイ活動を認め、後悔の念を述べたが、証拠はずさんで、意図的な誤訳や誇張が多く、捏造事件であることは・・・

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