今年7月のことだ。ＣＮＮが「米国と西側諸国の当局者五人の話」として、ロシアがドイツの防衛産業幹部の暗殺を計画していると報じた。「標的」とされたのは、ドイツ防衛大手ラインメタル社のアルミン・パッペルガーＣＥＯ（最高経営責任者）である、と名前も報じられた。
「そりゃあもちろん、愉快なことではないよ」と翌月、本人はドイツのメディアに語った。「こういう仕事だからね、脅迫とか、放火とか、家が荒らされるとか。いろいろあるものなのだ。二人の娘たちには（物心がついた時に）、真っ先に話してあるよ。お父さんの仕事はこういうものだとね」。
　ラインメタルが、ロシアによるウクライナ侵攻で巨額の利益を上げたことも隠していない。
　今年上半期は、同社製造兵器の注文が「過去最高」になり、500億ドル以上だったと、同社は発表した。8月末のレートで日本円に換算すると、約7兆2,400億円。フル生産体制でも、ウクライナ戦争などの注文に追い付かないため、ニーダーザクセン州に新工場を造ることも発表された。
　生まれは、バイエルン州の小都市マインブルク。ノルトライン＝ヴェストファーレン・・・