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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》朝鮮総連

存亡の危機の真っ只中

2024年9月号

 老害と未熟に振り回されれば、たいていの組織は衰退する。自らの成功体験ばかりが記憶にとどまって美化され、失敗を忘れ、新しい状況に対応できない権力者と、追従ばかりで苦言を口にできない取り巻きに持ち上げられた視野の狭い経験不足の若き独裁者によって、重大な危機を迎えている朝鮮総連(在日本朝鮮人総聯合会)は、その最たる例だろう。
 在日朝鮮人の利益を守るため1955年に結成された朝鮮総連について、関係者らは「今は二度目の危機を迎えている」と口をそろえる。一度目は2002年9月、北朝鮮の金正日総書記(当時)が日本人の拉致を認めた時に起きた。「信じてきた祖国がテロ組織だったとは」と驚いた在日朝鮮人が次々と組織を離脱したからだ。
 二度目の危機も、根が深い。
 最盛期には40万人とも50万人とも言われた会員数は、見る影もない。70代の朝鮮総連関係者は「かつては朝銀(信用組合)や朝鮮学校、商工会、貿易会社など、東京に本部を置く主要機関だけで約90もあった。朝鮮総連に入っておけば、仕事に困らないと言われていた」と振り返る。実利だけでなく、活動家たちは「共産主義の理想」を信じ・・・