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経済

セブン&アイは想像以上にピンチ

外資二社「コンビ攻撃」の痛烈

2024年9月号

 セブン&アイ・ホールディングスが、カナダのコンビニエンスストア大手のアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けた。日本の業界トップ企業が外資に買収されるとなれば衝撃だが、このまますんなり事が運ぶとみる向きは少ない。ところがアリマンタシォンは想像以上に巧妙な相手かもしれない。
「絶対にセブン&アイは買収に反対するはず」。小売業界の間ではこうした意見が大勢を占める。それはそうだろう。日本の小売り最大手が外資傘下に入ってしまえば、業界内でも前代未聞の大事件だ。業績不振に陥った西友が米ウォルマート傘下に入った例などと比べてもマグニチュードが違う。
 単なる感情論に基づく観測だけではない。セブン&アイは実際、これまでもアリマンタシォンの提案をはねつけてきた。カナダ紙によると、「クシュタール」の共同創業者で資産家のアラン・ブシャール氏は2005年、親交のあったセブン&アイの伊藤雅俊氏(故人)に買収をもちかけたという。伊藤氏はこれを断っている。
 そして最近では20年、アリマンタシォンはセブン&アイに対して水面下で、企業として買収提案をしている。当時、セブン&ア・・・