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社会・文化

南海トラフ「臨時情報」は廃止せよ

科学的根拠なき「狼少年」制度

2024年9月号

「“たられば”を積み上げただけで、科学的にまったく無意味な制度。経済損失を出しただけだ」
 関東地方の大学のある地震研究者は、8月8日に出された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」について、こう批判する。今回の臨時情報は同日夕方に日向灘で発生した最大震度6弱の地震を受けたもの。評価検討会が開催され発出されたが、実際には「評価」も「検討」もほとんど行わなかったことは知られていない。いたずらに混乱を招き、防災の妨げになりかねないこの制度は、地震研究者と政府のアリバイづくりのために整備されたものだ。

デタラメだらけの算出方法

 多くの国民が誤解しているだろうが、今回の臨時情報は今もなお解除されていない。地震発生から一週間後の8月15日に気象庁が会見したのは、臨時情報に基づく注意喚起をやめるアナウンスに過ぎなかった。8月15日まで閉鎖されていた海水浴場が、同じ「巨大地震注意」情報が出ているのに翌日にオープンするのは不合理だ。冒頭の研究者は次のように語った。
「制度設計・・・