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経済

《クローズ・アップ》青木 宏憲(クスリのアオキHD社長)

やり放題「同族企業」は不安だらけ

2024年9月号

「株価つり上げしか考えていないオアシスのことが嫌いだし、ストックオプション(SO)の公正価値の意味がよくわからなかったからとりあえず再任に賛成票を入れたけれど、釈然とはしないよね」。8月16日に金沢市で開催されたクスリのアオキホールディングスの定時株主総会に出席した個人株主からはこんな感想が聞かれた。
 総会の焦点になったのは青木宏憲社長の取締役選任議案。一割近くの株を持つと主張する香港のアクティビスト、オアシス・マネジメントが解任を求めていた。その最大の理由は宏憲社長と弟の青木孝憲副社長だけに2020年に発行されていたSOだ。不要な業績下方修正をして株価を急落させた後にSOを発行。公正価値を99%以上下回るオプション料、つまり青木兄弟に極めて有利な条件で発行されたことをオアシスは糾弾した。7月には青木兄弟らに73億円の損害賠償を求め、金沢地裁に訴訟も提起。司法の判断が出るまでSOを行使しないよう求めていた。
 株主総会で宏憲社長は社内取締役としては最も低い82.42%の賛成で再任された。総会は昨年より6割多い114人が出席し、開催時間は過去最長の2時間半近くに及び・・・

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