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経済

「創薬ベンチャー」に消える税金

米国と大差「焼け石に水」の愚

2024年9月号

 日本政府が創薬ベンチャーの支援拡充を打ち出した。日本医療研究開発機構(AMED)の予算を増額、2028年度に支援企業数を現在の11社から70社に、民間投資は2倍増とし、企業価値が100億円以上の企業を10社以上育成するという。しかし、この分野でトップの米国とは天と地ほどの差がある。勝負にならない。巨額の税金をばら撒くだけの愚策なのだ。日本には、その強みを生かしたやり方を探ることが求められている。
 今回の支援策は、東京都内で7月30日に開催された「創薬エコシステムサミット」で、創薬力強化のための5年間の工程表として内閣官房健康・医療戦略室が示したもの。ドラッグロス解消なども盛り込まれた。
 実は、日本の創薬力は現在も高いレベルを誇っている。17〜22年に日本発の26の新薬が米食品医薬品局(FDA)によって承認されている。米国(148品目)に次ぎ世界2位だ。ただ開発主体が、武田薬品工業などの老舗企業に偏っている。我が国で創薬ベンチャーの育成が進んでいないという認識は正しいが、今回の方針を元厚生労働省官僚は「荒唐無稽な話」とばっさり切り捨てる。
 日本の創薬・・・

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