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経済

《地方金融の研究》東京スター銀行

預金金利「大盤振る舞い」の勝算

2024年9月号

 金融正常化を受けて銀行による「預金集め競争」が激化しようとしている。当たり前だろう。「金利のある世界」ではお金を貸せば貸した分だけ利息収入が転がり込む。しかしそれにはまず融資の元となる原資が必要となる。すなわち預金―だ。
 そんな中、東京・港区赤坂に本店を置く第二地銀、東京スター銀行が思い切った施策に打って出た。普通預金の金利を9月から最大年0.5%に引き上げるというのである。同行は七月に預金金利を最大0.3%へと引き上げたばかり。そこから2カ月余りでの再利上げとなる。
 金利引き上げの動きはインターネット銀行などが先行する。リアルな営業拠点を持たず、店舗運営のコストがかからないためだ。ただそれでもauじぶん銀行で同0.33%。9月2日から利上げに踏み切るふくおかフィナンシャルグループ傘下のデジタル銀行「みんなの銀行」でさえ同0.4%(プレミアム会員のみ)に過ぎない。東京スター銀の金利はこうしたネット銀の水準を上回る。
 日本銀行が追加利上げ決定を表明したのは7月31日。3月のマイナス金利解除後、0~0.1%としてきた政策金利、無担保コール翌日物金利の誘・・・

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