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経済

日本株「8月大暴落」の教訓

「米利下げ前後」複雑な読み筋

2024年9月号

 7月の世界株安の波は、東京市場で突如としてレバレッジ崩壊の大波に変わり、すべてを呑み込んであっという間に消えた。日本を沈没させた波はアジア市場を襲い、米国市場で株の予想変動率を示すVIX指数を跳ね上げた。似たような局面がまた来るはずだ。米国市場と絡めて日本株大暴落からの学びを得よう。
 7月11日の米消費者物価指数(CPI)発表後の日本の財務省による為替介入の後、米国株で値動きに異変が生じていたことは前号のとおり。地殻変動が起こったのである。その後ズルズルと世界株安が続いていた7月末、「日銀のタカ派急旋回」でパラメーターが振り切れた。日本の株式市場をコンピューターによるアルゴリズム取引の猛烈な売りが襲い、8月5日には日経平均株価が史上最大の大暴落を記録した。
「円キャリートレードのアンワインド(巻き戻し、解消)」。今回の急落相場ではこの言葉が市場を駆け巡った。このトレードが前回流行した2006~07年にも世界の株式市場が調整する度に頻繁に使われた言葉だ。キャリートレードは狭義には「低金利通貨を調達して高金利通貨(キャリー通貨)で運用する」こと。広義では運用先が高金・・・

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