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政治

《罪深きは この官僚》杉中 淳(農林水産省経営局長)

コメ自給体制「崩壊」の推進者

2024年9月号

 近頃、長期的な構想力を持つ官僚は絶滅危惧種だ。学歴や性別が多様化する一方で、資質の面では画一化している。生真面目で品行方正だが、国の将来を考えるとき、優等生たちの才能がまっとうに発揮されているとは思えない。
 今回、名指しする人物はその端的な例だ。今年7月5日付で農林水産省の総括審議官から昇格した杉中淳経営局長は、兵庫県の進学校である甲陽学院高校を卒業後、東京大学法学部を経て1990年に農水省に入った。その後も米ニューヨーク州のシラキュース大学大学院へ留学し、中央大学大学院総合政策研究科を修了して博士号を持つ。また、ブリュッセルでの海外勤務や、予算課長などエリートコースを邁進してきた人物である。
 杉中局長は、自民党の総合農林政策調査会最高顧問の森山裕総務会長が食料安保の重要性を訴え始めたのと軌を一にして、その路線を推進している。省内では「ミスター食料安保」と目されるほど、偏った政策を唱え、一昨年から「農政の憲法」とも呼ばれる食料・農業・農村基本法の改正を担当した。基本法成立後の約20年間の検証と改正案作成の陣頭指揮を執り、関連法案とともに先の国会で可決・成立し、・・・

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