三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

「小林鷹之」に群がる面々

早々に期待「急失速」の必然

2024年9月号

 芥川龍之介の著名な短編小説に「蜘蛛の糸」がある。お釈迦様が蓮池のふちを散歩していると、カンダタという男がはるか地獄の底の血の池で苦しんでいる姿が見えた。生前、一つだけ善行をした彼を助けるためお釈迦様は、蜘蛛の糸を垂らすのだが……。
 カンダタが、派閥パーティー券裏金問題に直撃された安倍派の中堅・若手議員なら、蜘蛛の糸は、自民党総裁選に名乗りを上げたコバホークこと前経済安全保障担当相、小林鷹之だ。
 49歳の小林は、8月19日、誰よりも早く自民党総裁選への出馬を表明した。
 14日に首相の岸田文雄が次期総裁選不出馬を発表する以前から、出馬表明をこの日に行うと決めていたのだ。「どの陣営よりも早く」記者会見して、他候補の機先を制しようとしたのである。彼の狙いは当たった。有力候補の1人、石破茂の出馬表明が24日にずれ込んだため、民放テレビから次々とお呼びがかかり、5日間にわたって「テレビジャック」に成功した。日本経済新聞社とテレビ東京が8月実施した世論調査では、「次の自民党総裁に誰がふさわしいか」という問いに8%が「小林鷹之」と答えた・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます