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政治

自民総裁選「刷新感劇場」の空虚

《政界スキャン》

2024年9月号

 刷新感。それが自民党総裁選のテーマだという。のっけからウサン臭い。刷新とは、組織に不都合な部分があるので気風を新たにすること。抜本的に出直す「一新」と異なり、ハナから及び腰だ。そこに「感」まで付いている。
 一番に名乗りを上げた「コバホーク」こと小林鷹之前経済安全保障担当相(49)の記者会見が、拍子抜けの見本だった。
 当選4回、元二階派ながら「脱派閥」を掲げ、若手議員集団に担がれた。身長186センチのスポーツマンでイケメン。開成高校・東京大学・財務省勤務・米ハーバード大学大学院修了。人当たりがよく、中学校生徒会長や大学ボート部主将を務め、リーダーシップもあるさわやかエリートだ。
 彼は何を言うか。NHKが午後2時のニュース枠を広げて約10分間、生中継した。ところが、笑顔で歯切れよく話した中身は、総花的で新味ゼロ。自民党が信用を失った政治とカネ・旧統一教会・モリカケなどの問題では、岸田文雄首相の釈明をなぞるだけ。会見の翌々日、首相官邸を表敬して激励され、「基本政策は岸田政権を継承する」と述べた。
 これでは何をしに出てきたのか分からない。模範解・・・

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