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一帯一路「中央アジア」の悲鳴

中国独り勝ち「乱開発」の実情

2024年9月号

 中国共産党の習近平総書記の看板外交である「一帯一路(シルクロード)」政策に、影の部分が膨らんでいる。債務支払いのため国民生活を犠牲にする国や、政情不安に陥る国が増えている。中国共産党は、政策導入から10年を迎えた昨年、「大成功のプロジェクト」と自画自賛したが、総額1兆ドル(約145兆円)を超えるカネの奔流は、今後も世界の政治と経済をかく乱しそうだ。

関係国が上げる悲鳴

 7月初め、カスピ海に面したカザフスタンの小さな港町、クリクが一つの歴史を作った。この町の港から、大型貨物トラック16両などを搭載した貨物船が、対岸にあるアゼルバイジャンの首都バクーに向けて出港したのである。
 中国のコンボイ16両が向かう先は、最終的には西欧だった。中国製品を陸上輸送で欧州に輸出しようという試みであった。言わば、カスピ海経由ルートがどの程度使えるかを見る、実験でもあった。
 輸送船は無事にトルコに着いた。中国メディアは「陸・海のシルクロードが本格的に始まる」と大喜びをした。
 この出航前、中国政・・・