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ハマスと中国の深まる関係

中東で「米国弱体化」を狙う計略

2024年9月号

 中国が異様なまでに中東に固執する動きに出ている。
 この7月、中国とパレスチナの14諸派のリーダーが一堂に会し、北京宣言を採択した。ガザ地区とヨルダン川西岸地区の戦後統治を軸に暫定的な国民和解政府を樹立する計画だ。8月6日には、王毅外相がエジプトとヨルダンの外相とそれぞれ2回電話会談し、アラブ諸国に対する中国の連帯を誓った。これまで激しい内部対立を繰り返してきたパレスチナ諸派を、サウジアラビアをはじめとするアラブ諸国ですらまとめることができなかった。それを中国はどのようにまとめて、合意にまで至らせることができたのか。さらには中国がここまでパレスチナ問題に関与する狙いは何なのか。

パレスチナ諸派に「協力者」

 今年3月、中国外務省は、王克堅中東特使がカタールでハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏と会談したと発表した。ガザでの戦争勃発以来、北京が公に認めた、中国とハマス関係者の初めての会談だった。中国は昨年10月7日のハマスの攻撃に対し、ハマスを名指しで非難することはなく、ただ戦争そのものを非難し、即時・・・

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