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「領土喪失」プーチンの狂乱

政権内の異変と「停戦機運」

2024年9月号

 ウクライナ軍が8月6日に始めたロシア領クルスク州侵攻作戦は、ロシア軍の虚を突く巧みな戦術で、「国家の守護者」を自任するプーチン大統領にとって屈辱となった。
 プーチンは奇襲攻撃を座視した軍部への不満を強め、軍幹部粛清を続けるとの見方もある。ウクライナ軍掃討の作戦調整官にデューミン大統領補佐官が起用されるなど、政権内の権力構図に変化がみられる。ウクライナの賭けがどう転ぶか不明だが、2年半を経た戦局は転機を迎えた。
 情報統制が厳しいロシアでは、日本のメディアが好んで引用する「メドゥーザ」や「ノバヤ・ガゼータ」など独立系メディアは、海外に拠点を移して取材力が衰えた。これに対し、SNS「テレグラム」に投稿する情報サイトは、政権に肉薄して内幕を伝え、情報性や確度が高い。運営者は正体不明ながら、政権実力者の一定の庇護を得て発信している模様だ。

「クーデター説」も

 そのうちの一つ「ゴスドゥムスカヤ」は、クルスク州攻撃をめぐるクレムリンの動向について、「プーチンは表向き平静を装っているが、内心はパニ・・・

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