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ベネズエラ「政権交代」を巡る攻防

「独裁者排除」米国の本気度

2024年9月号

 南米ベネズエラで7月28日に実施された大統領選挙は、三選を狙う反米左派ニコラス・マドゥロ氏(61)が、事前の支持率調査で大きくリードしていた中道野党連合の元外交官エドムンド・ゴンサレス氏(75)を退ける「茶番劇」に終わった。全国選挙評議会(CNE)によると、マドゥロ氏は52%を得票し、ゴンサレス氏は43%。一方、野党側はゴンサレス氏が67%を得たと主張している。CNEが詳細結果を公開すればいいだけの話だが、不可解にもCNEは「サイバーテロ攻撃を受けた」として開示を拒む。野党側は各投票所の電子投票機からはき出される結果証書の大部分を入手し公表しており、どちらに分があるかは自明だ。
 ベネズエラの後ろ盾であるロシアと中国、キューバなど一部の権威主義国を除き、欧米や中南米諸国、国連をはじめとする国際機関は一斉にマドゥロ氏勝利に疑義を唱え、「到底、民主的な選挙だったとは認められない」(選挙監視団を送った米カーター・センター)としてCNEに詳細公表を求めている。故チャベス前大統領から四半世紀にわたる一党支配で三権を大統領が完全掌握する独裁体制下では自浄作用や改革は到底望めず、崩壊した・・・