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経済

鹿島と日本原燃「不正入札」の腐臭

「原発利権」は永久に不滅

2024年8月号

 残された時間は2カ月余り。それでも、7月18日、定例記者会見に臨んだ「英雄」は虚勢を崩さなかった。
「耐震設計の進め方については(規制当局の)理解を得られた。9月に収められるよう工夫し、計画は変更しない」
 英雄とは、使用済み核燃料の再処理工場(青森県)を建設する日本原燃の社長・増田尚宏―。着工以来、30年経っても完成しない国策プロジェクトの責任者だ。26回目の延期で9月末とした竣工計画の達成は絶望的な状況にある。が、振り返れば2019年1月、地元六ヶ所村に増田が赴任したときには大きな期待が寄せられていた。
 増田は、東日本大震災発生時の東京電力・福島第二原発の所長である。第一原発と同じく原子炉の冷却機能を失ったが、三日三晩かけて9キロに及ぶ外部電源ケーブルを人力でつなぎ、間一髪、第二原発をメルトダウンから救った。その命がけの陣頭指揮は、「英雄」と呼ぶにふさわしい“気迫と機略”に満ちていたという。
 しかし、今や六ヶ所村の期待は裏切られたと・・・

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