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サウジが「媚トランプ路線」に邁進

イラン封じ込めで「裏外交」を展開

2024年8月号

 バイデン大統領撤退で再スタートを切った米大統領選挙。暗殺未遂事件を乗り越えたトランプ前大統領は、まるで英雄のように支持を集め、再びホワイトハウスに戻る準備を着々と進めている。その一方で、中東のサウジアラビアもトランプ大統領誕生に備えて、舞台裏での動きを加速させている。
 昨年、サウジはイランとの国交を回復したが、イランへの警戒は全く解いていない。サウジはイスラエルとの国交正常化を進める条件として、バイデン政権に対してイランを意識したアメリカとの防衛協力を要求している。ムハンマド皇太子が推進する「ビジョン2030」の成功には、この地域の安定が不可欠だからだ。
 しかし、「ビジョン2030」は計画遅延が避けられず、見直しが行われている。御用学者やアナリストたちは「柔軟性」を持って進めていると擁護するレトリックを必死に拡散しているが、残りの六年で目に見える成果を上げなければならない。次期米大統領との関係はムハンマド皇太子にとってまさに死活問題である。

シリアとの関係改善を図る理由