三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

《日本のサンクチュアリ》海上自衛隊

海の防人はなぜ汚れたか

2024年8月号

 自衛隊は7月、創設70周年を迎えた。節目の年のまさにその月に、自衛隊は史上まれにみる不祥事を起こし、218人もの大量処分者を出した。その大半は海上自衛隊がからんでいた。海自の潜水艦救難艦を舞台にした潜水手当の不正受給では74人が処分された。自衛隊施設での無銭飲食は22人だが、停職になった19人はいずれも海自隊員だった。「特定秘密」の漏洩で113人が処分されたが、懲戒処分で停職になった15人のうち、14人は海自隊員だ。
 
 
 海上自衛隊はその職務上、各国軍隊との交流を盛んに繰り返してきた。国際感覚に優れ、日米同盟の要の部隊のはずだった。
 だが、今回の不祥事は、コンプライアンスに厳しい英米などの軍隊では考えられないひどさだ。なぜ、最もスマートだと考えられてきた海自に不祥事が集中したのか。統合幕僚監部で幹部だった元陸将は、海自を示す四字熟語に、その原因があるのではないかと語る。
「伝統墨守 唯我独尊」
 実際、海自・・・