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社会・文化

鹿児島県警「極悪非道」の本質

あの「警察改革」は無に帰した

2024年8月号

「隠蔽の意図をもって指示したことは一切ない」
 鹿児島県警察の野川明輝本部長は、判で押したように否認を続けている。同県警の相次ぐ不祥事、その黒幕と疑われる野川本部長はメディア関係者に告発されたが、7月5日、鹿児島地方検察庁は不起訴処分とした。とりわけ枕崎署員による盗撮事件の犯人隠避容疑については「嫌疑不十分」という判断。つまり証拠が揃わず、起訴に至らないということだ。
 同地検の検事は10人もいない。6月14日の告発からわずか3週間での不起訴処分は、まともな捜査が行われていないことを物語る。警察官の犯罪とその隠蔽―、社会的反響は大きく、ある警察関係者は怒りを露わにした。
「鹿児島の検事正は福岡高検、最高検とも協議しているだろう。おそらく検察庁と警察庁はグルになって事件を闇に葬った」
 同県警の一連の不祥事は本来、東京または大阪の特捜部から50人規模の検事を動員して対処すべき事案だ。「それでも、捜査は3カ月かかる」と言われる。焦点は本部長の否認を覆す物証にある。{br・・・