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社会・文化

堂島「コメ先物市場」復活の意味

零細稲作農家に迫る「終焉」

2024年8月号

 江戸時代に世界に先駆けて日本で発明された先物取引の発祥の地、堂島取引所(大阪市)でコメ指数先物の取引が8月13日に復活する。この市場が育つかどうかは、稲作経営の規模拡大に直結し、食料安全保障政策の試金石になる。
 現在の日本のコメ相場は、市場で形成されず、目安になるのは農林水産省が全国の県別・品種別の約120銘柄を対象に毎月発表する「相対取引価格」だけだ。食糧管理法は29年も前に廃止され、「そんなばかな」と思うかもしれないが、2011年に全国米穀取引・価格形成センターが廃止されて以降、先物どころか現物取引市場さえ存在せず、昨年にようやく現物市場が創設されたばかりだ。
 透明性のある公的な市場が機能しないため、さまざまな価格が混在している。当面必要なコメを卸売業者の間で融通するスポット取引では、関東産コシヒカリが60キロ当たり2万6,480円(23年産、7月上期)で前年同期比の約2倍になるなど高騰する一方、茨城産コシヒカリの相対取引価格は前年同月比30%高い1万8,680円(23年産、6月)だった。
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