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社会・文化

日本の科学アラカルト 168

太陽光エネルギーの可能性広げる 「赤外線」利用の最前線

2024年8月号

 地球上のあらゆる生命が太陽の恩恵に与っている。人類が利用しているエネルギーの大部分が太陽光由来と言える。それは太陽光パネルを使った発電だけではない。水力発電は太陽光による海から川(ダム)への水分の移動がなければ成り立たない。風力発電も元を辿れば太陽のエネルギーによる大気の移動によって風車を回している。
 また、バイオマス発電だけでなく、石油などの化石燃料も元を辿れば植物であり、太陽光によって育ったものである。つまり地熱や原子力といった例外を除けば、あらゆるエネルギーが太陽に由来している。
「温暖化」と悪し様に言われるが、そもそも太陽光によって地球が加熱されなければ、人類を含めた生物はすぐに死滅してしまう。
 地球に降り注ぐ太陽エネルギーの量には諸説あるが、産業技術総合研究所のサイトにある数字を引用すると、地表には85ペタワットが到達するという。ペタは10の15乗なので桁違いのエネルギーである。このうち太陽光発電に使える可能性があるのは、1ペタワット(=1000テラワット)だが、人類全体の電力・・・

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