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経済

《企業研究》KADOKAWA

サイバー攻撃「恐慌」の内幕

2024年8月号

 ジレンマどころかトリレンマ以上の選択にさらされた時、組織や人は何を最優先すればいいのか。サイバー空間でのランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃への対応は、誘拐事件のように人命が直接損なわれる恐れがない分、逆に難しさを伴う。6月8日に発覚したメディア大手「KADOKA
WA」に対するランサムウェア攻撃は、日本企業が遅れがちな防御対策の課題を突きつけると同時に、「身代金を払うのは悪」という発想に疑問符をつける事案となった。
 KADOKAWAは今回、サイバー攻撃を受けた直後に、その事実を公表した。上場企業は通常、風評が経営に与える影響を意識し、サイバー被害は公表したがらないものだが、今回の事案では子会社の「ドワンゴ」が提供するニコニコ動画など配信サービス等に影響が出始めたため、公表せざるを得なくなった。リアルタイムでサービスを提供する企業は、システム障害を隠し続けられないということである。KADOKAWAはプレスリリースを発表し、攻撃によって内部サーバーにアクセスできない状況が生じたと認めた。

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