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政治

岸田延命の「裏技」

総裁候補「封じ込め」への執念

2024年8月号

 「バイデン大統領として、政治的に最善の判断をするとの思いだと認識をいたします」。7月22日朝、官邸に姿を見せた岸田文雄首相は、バイデンの米大統領選撤退表明について記者団にこう語った。ただ9月に自民党総裁選を控え、内閣支持率の低迷にあえぐ岸田とバイデンを重ね合わせた人が多くいたのは言うまでもない。
 折しも21日には朝日、毎日、読売、産経、共同通信の世論調査が出そろった。各社によって多少の増減があったが、いずれも内閣支持率は20%台で不支持率は60%以上という「危険水域」だった。「タイミングが悪いな」。周囲にこうつぶやきながらも、岸田自らが練ったのが「最善の判断」というフレーズだ。
 案の定、自民党内からは「首相自らが身を引くことが『最善の判断』だ」(中堅議員)と揶揄する声が上がった。それもそのはず、2021年の前回総裁選で岸田勝利の立役者の一人だった甘利明前幹事長が「岸田が総裁選で勝てると思っている奴は党内にどれだけいるんだ」と指摘。
 岸田最側近の木原誠二幹事長代理が「首相に総裁選撤退を進・・・