韓国で7月、65歳以上の高齢者が初めて1000万人を超えた。韓国全人口に占める割合は19.5％に達する。韓国人男性の平均寿命は86.7歳、女性は90.7歳にもなる。それでも、韓国と言えば儒教精神が今の時代にも残る国ではなかったか。長幼の序を重んじ、公共の場所では、若い世代がお年寄りに席を譲る。韓国は、お年寄りが誇りをもって、安心して暮らせる社会のはずだった。だが、超高齢社会の到来と共に、そんな美しい風景が今、急速に消え去りつつある。

　韓国保健福祉部は今年6月、「2023年高齢者虐待現況報告書」を発表した。昨年、65歳以上の高齢者虐待の通報件数は約2万2,000件で、前年から12.2％増えた。通報件数が2万件を超えたのは初めて。全通報の32％にあたる7,025件が虐待と判断された。19年は同約5,200件だったが、毎年増え続けている。虐待されているのは女性が75.9％を占める。20年までは「息子による虐待」が最も多かったが、21年以降は「配偶者による虐待」が最多となった。生活が苦しかったり、高齢や認知症などで周囲に負担をかけたりする状況から生まれ・・・