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WORLD

タイ社会を蝕む「ギャンブル」

「カジノ合法化」へ危うい邁進

2024年8月号

 東南アジア第2位の経済大国のタイが、カジノの合法化へ動き出している。タイはギャンブルを合法化することで、シンガポールやカンボジアなど近隣諸国に流れるカジノ目当ての観光客を呼び込み、税収増を図る狙いだ。米調査会社IBISワールドの試算によれば、世界のカジノ産業の収入は2024年に3,000億ドル(約50兆円)を超えると推定され、タイだけでなく、アラブ首長国連邦など世界各国がその恩恵にあずかろうとカジノの合法化に邁進する。ただ、その裏には、ギャンブル依存症などの暗い影がつきまとう。タイでは退職後に暇を持て余し、隣国カンボジアのカジノに溺れるタイ人高齢者たちの存在が社会問題化している。IR(統合型リゾート)の美名でカジノ解禁を画策する日本政府も人ごとではない。
 タイでは国が管理する競馬と宝くじをのぞき、賭博は違法だ。そのため、タイ人のギャンブラーたちは国境からほど近い場所に造られた隣国のカジノを目指す。タイ西部ターク県の対岸にあるミャンマー東部カイン州や、タイ北部チェンライ県と国境を接するラオス北部ボケオ県のゴールデントライアングル(金三角)経済特区・・・